波紋
◆「たった1年で元本が倍に」高齢者をはじめこの類のキナ臭い話に引っかかる者は少なくない。小欄やその知人も話を持ちかけられたことがあるほど、広く一般的な詐欺話だ。タンスや銀行に貯めておいても金利が金利、賭けに出たくなる気持ちも分からないでもないが、蓋を開ければなんとも後味の悪い結末が残っているだけである。
◆そんな詐欺より遥かに美味しい儲け話があった。下手をしたら数日で元本がおよそ25倍になると聞けば、経済に明るくない者ですらさすがに怪しいと思うだろう。言わずもがな事故米問題である。倉庫に貯めておくよりは、とkgあたり3円で工業用糊の原料として売られた事故米は、気づけばkgあたり百数十円にもなって市場に出回っていた。
◆日本製の食品は安心安全、そう思っていた消費者は耳を疑ったに違いない。日本産が、安い海外産に唯一対抗できうる特質が安全と品質である。不景気だろうと日本産の高価な食材が店頭に並んでいたのは、その付加価値があったからといって過言ではない。食糧自給率は3割程度とまで言われる日本産に今、消費者からの疑念が寄せられている。
◆日本の生産者は、何とか我が国の食を守ろうと、高付加価値化に躍起になっている。JAうごがいわゆる美少女画で有名な西又葵氏のイラストをパッケージに載せたあきたこまちに、注文が殺到した。無農薬・顔が見える食材・産地直送……生産者の努力を挙げればきりがない。そんな努力が実を結ぶ前提が安全であるのだから後味が悪い。
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